岡山県の北東部、兵庫県との県境にある小さな村、西粟倉村(にしあわくらそん)。本当に特徴のある村で2004年の平成の大合併のときに合併を拒み、独自の道を歩もうとした村です。
この村はローカルベンチャーの先駆けと言われていて、若者たちがこの村に移住してきて起業しているのです!
ここでは、この不思議な魅力を持つ西粟倉村についてお伝えします。
自分の事業が、自分の会社だけではなく、村も大きくする!こんな体験、普通の市町村では絶対できませんよ。

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■平成の大合併とは?
行政の効率化などをめざし、自治体の返済の負担を軽減する合併特例債の活用や、旧市町村の議員が一定期間、新自治体の議員として残れる在任特例といった手厚い優遇策を盛り込み、市町村の数を減らそうとした国の施策です。
市町村が多ければ、それだけ市長や村長の人数も増えるわけで、役場の人間も必要です。
合併してある程度の規模にしたほうが確かに効率的です。
1995年に3234あった市町村は2015年3月31日時点で1718にまで減っています。
国はさらに1,000程度にすることを目標にしているようです。
■合併を拒んだ西粟倉村
こんな状況の中で西粟倉村は合併を拒み、独自の道を進むことを決めました。
今風に言えば「男気」?とも思えます。祖先が築いた村を守りたいという想いがあったのでしょう。
うがった見方をすれば、合併を拒むということは排他的な風土なのかなとも思われます。
よそ者は受け付けないという価値観の人が多いのかなと。
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■西粟倉村の気質
しかし、西粟倉村は違うようです。
合併を拒んだからには、生き残るためのヴィジョンが必要だということで、まとめられたのが「百年の森構想」。
百年の森構想を旗揚げしたときの村長さんの言葉がこれです。
地域には捨ててはいけないものがあります
約50年前に子や孫のために木を植えた人々の想い
その想いを大切にして、立派な百年の森林に育て上げる
そのためにあと50年
諦めずに村ぐるみで挑戦を続ける決意をしました
このヴィジョンいかがですか?アツい想いが伝わってきますよね!このヴィジョンがあったからこそ、村の人たちはまとまったのではないでしょうか。
西粟倉村では、2004年から2015年までに13組が起業しています。この間でローカルベンチャーの売上は8億円増加したとか。
西粟倉村の歳入が平成26年度で22億円ですから、そうとうなインパクトですよね。
売上があがれば、当然雇用が生まれます。ローカルベンチャーで117人の新たな雇用が生まれ、西粟倉村への移住者は100人を超えたとか。
人口1,500ほどの村ですよ?
人口の約7%が移住者です。驚異的なデータです!
西粟倉村の気質は、移住者を柔軟に受け入れるということ。さらに行政も移住者が打ち解けられるように協力しています。
地元住民と移住者の間でトラブルがあったら、役場の人が移住者と一緒にお詫びするとか。
すごく排他的で閉鎖的な村かと思ったら、全然真逆であるようです。
■西粟倉村、Eターン誘致への取り組み
Uターン、Iターン、Jターンなどいろんな言葉がありますが、最近はEターンというのもあるんですね。
Eターン(Entre-turn=起業家型移住者)のことらしいです。
移住してきて起業する。普通こんなこと考えませんけどね。
西粟倉村では現実に起こっているんです!
しかし、最初の頃は役場の中でもローカルベンチャーが成功するイメージはなかったそうです。
そりゃそうですよね。人口1,500人ほどの村で起業したいなんて人が現れるとは思わないでしょう。村の担当者さんいわく
「ミッション・インポッシブル!」
そんな中、ベンチャーの先陣をきったのが、こちら。
社長の國里さんは高校卒業後、学生を2年間。その後社会人を2年間経験して、22歳になる直前に西粟倉村にUターンしました。
バブルがはじけた頃で将来に不安を感じて村に帰って来たそうです。11年間、森林職員として働き、その後に起業して「木の里工房 木薫」を立ち上げました。
これが西粟倉村初のベンチャーと言われています。
ここから、ローカルベンチャーがじわじわと成功しはじめます。
こちらの記事で紹介した「木工房ようび」の大島さんもEターン組です。
⇒ 世界が認めるひのき家具(岡山県西粟倉村発)の特徴と魅力-木工房ようびの挑戦
他にもいくつかのベンチャーが立ち上がり、いつしか西粟倉村は日本のシリコンバレーと呼ばれるようになります。
今ではEターン希望者のための「ローカルベンチャースクール」を開催して、起業したい人を募集し、村として支援する制度を整えています。
ローカルベンチャースクールについてはこちらを参照してください。
このローカルベンチャースクールは延べ200名が参加し、実際に応募したのが18件。結果、2件の事業が起こりました。
自治体と民間が協力する。第3セクターのようでありますが、第3セクターとはまったく違います。
ここには責任逃れをするような風土はありません。
村と起業家どちらにもプラスになる循環が生み出されています。
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■西粟倉村ローカルベンチャーのコンセプト
西粟倉村のローカルベンチャースクールのコンセプトは
ちゃんと稼ごう
ということ。
人口が少ないから稼げない、儲からなくても仕方ない・・・こんな思い込みを打倒し、村で1億稼げるベンチャーをつくる
村役場はこのテーマに挑戦しています。
■ローカルベンチャーに向いている人
奇跡の村といわれるほど、ローカルベンチャーの成功率の高い西粟倉村ですが、ローカルベンチャーに向いている人ってどんな人なのでしょうか?
- マーケティングの知識バリバリの人?
- 新しいアイディアにあふれる人?
- 起業の経験がある人?
いえ、そんなことではありません。
「木工房ようび」の大島さんは言います。
アツい想いを持った人
知識でも技術でもなく、想いです。
大島さんはひのき椅子作りのスペシャリストです。ひのきで椅子を作る技術や知識という点では日本で第一人者でしょう。
だけど、あの火事ですべてを失ったとき、そこで事業を諦めていたら?
成功とはいえないでしょう。
自分の想いを貫き通す強さ
これを持っている人がローカルベンチャーに向いている人なのでしょう。
(うーん、ローカルベンチャーに限りませんか・・・)
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■西粟倉村に行ってみたいと思ったので
いや、移住したいということではないのですが。
西粟倉村に行ってみたくなったので、周辺の観光スポットなど調べていたのですが、西粟倉村には温泉があるんです。
この温泉面白そうです。西粟倉村の温泉の源泉は14℃程度らしいので、加温する必要があるのですが、この加温に関してもローカルベンチャーが大活躍なんですよ。
村の中ですべてがうまく循環しているんです。