「逃げるが勝ち」と「逃げたら負け」どちらが正解?【苦難は有難い!?|松本浩之さんセミナー】第450回経営者モーニングセミナー

経営者セミナー

あなたは、「逃げるが勝ち」という言葉を聞いたときに、どんなイメージを持つでしょうか?

  • それは賢い!そんなの当たり前!
  • ズルイ!卑怯だ!
  • 人生そんな甘くないんだよ!
  • 恥だけど役に立つ!

人によってポジティブに受け取るか、ネガティブに受け取るか、全然違いそうですね。

一方で、「逃げたら負け」という正反対の考え方もあります。

こちらの考え方に共感する人も多いでしょう。

(私はどちらかというとこちらの考えに共感するタイプです)

ちょっと前に「置かれた場所で咲きなさい」という本がベストセラーになりましたが、「そんなこと言って、鬱になったらどうすんだよ!」みたいな意見もありましたね。

さて、今日の経営者モーニングセミナーで、私は「逃げるが勝ち」と「逃げたら負け」という考えは、どちらが正解なのか?

その答えを出すヒントをもらうことができました。

「逃げるが勝ち」と「逃げたら負け」。

どちらの考え方が人生うまくいくのでしょうか?

個人的見解を述べたいと思います。

その前に、今日のモーニングセミナーのまとめです。

【幼少の頃、父親を亡くし、中学2年でいじめにあってグレた子供時代】

今日のモーニングセミナーの講師は、株式会社シモバン代表取締役の松本浩之さん。

山口県下関市にある板金の会社で、もともとはお兄さんが立ち上げた会社です。

松本さんは板金業の他、不動産業、飲食業、出版業などさまざまな事業を立ち上げた経験をお持ちです。

松本さんは6人きょうだいの末っ子で、一番上のお兄さんとは13歳違い。

幼少の頃に父親を亡くし、お母さんが家計を支えていました。

貧乏で苦しい生活だったそうです。

しかし、末っ子である松本さんは、兄、姉の「せめて一番下の弟だけはまともに大学に行かせてやろう」という想いで、塾にも通わせてもらっていました。

小さい頃は体が弱かった松本さんですが、小学校3年生の頃に柔道を習いはじめて、だんだん丈夫になっていきます。

ずっと続けていた柔道でしたが、中学2年のときに、道場でいじめにあいました。

そのとき松本さんは「もっと強くなって見返してやる!」とは思わずに、「こんな学校やめてやる!」と逃げ出します

その後はほとんど学校に行くことなく、家族が必死の想いで作ってくれた塾の費用で遊びまわるようになりました。

それが母親にバレて激怒されます。

そのときほど母親を怖いと思ったことはなかったそうです。

【兄の会社で働くようになるが、辛くて逃げだす】

それで自分の行いを考え直していたというタイミングで、一番上のお兄さんが立ち上げた板金の会社で働くようになります。

しかし、夏は死ぬほど暑く、冬は手が凍えるような現場での作業に耐えられず、また逃げ出します

また、この当時はあまり仕事がなくて、このまま兄の会社を手伝っていても先がないと思ったのも理由でした。

お兄さんの会社で働きながら定時制高校に通っていたのですが、そこの先生に「サラリーマンになってちゃんとした会社で働きたい」と相談します。

そして滋賀県にある会社へ就職。

働き始めて3年目に、兄から「仕事が忙しくなったから帰ってきてくれ」と言われます。

松本さんは、就職していた会社の上司に尋ねます。

「このままこの会社で頑張ったら、私はどこまでいけますか?」

上司の答えはこうでした。

「う~ん、君は頑張っているから係長くらいにはなれるんじゃないか」

この言葉を聞いて、松本さんは、自分を試してみたくなります。

下関に帰って、下関一の板金屋になるという夢を持ったのでした。

【安定した会社員を辞めて地元に戻る】

しかし非常にしがらみの強い業界のようで、昔は材料を売ってもらえなかったりとか、ブラックな職場環境だったので人がどんどん辞めたりとか、苦労は絶えません。

それでも、滋賀の会社を辞めて、下関一の板金会社にするという夢を持っていたので、いろんな会合に出て勉強しながら頑張ているうちに、少しずつ仕事が増えてきました。

トイレ掃除をすれば売上が上がるとか、車を洗うと事故が起きなくなるとか、教えられたことを愚直に実行していきます。

そんな頃、倫理法人会に出会って入会し、3年ほど経った頃、山口県の倫理法人会の会長になってくれと打診されます。

本当にやりたくなかったそうです。また逃げ出そうと思います。

【人生の岐路になった決断】

しかし、断り切れず、また「やりたくないことをやるのが、自分のためになるのではないか」と考え、会長職を受けました。

そこから、会社の業績が変わります。

今から15年前に松本さんは社長になったそうですが、15年前と今の売上を比較すると、売上自体は変わっていません。

しかし、県会長を受けた7年前から、利益率が大幅にアップしたのです。

会長を受ける前までは、赤字が続き、何度も資金ショートの恐怖に怯えていました。

それが、県会長になって以降、ずっと黒字になったのです。

今では資金繰りに奔走することもありません。

なぜ、そんなことが起こったのか?

それは、松本さんが山口県倫理法人会の会長になるときに、ある決意をしたからです。

その決意とは

県の会長の会社が倒産したらシャレにならん!会員さんにあわせる顔がない!

だから、絶対につぶさないように頑張ろう!

こう決意して、会長の任期である2年間頑張ろうと決意します。

そこから黒字になっていきました。

会社を倒産させないためには、利益の出る仕事を受けなければなりません。

厳しい価格交渉をされる仕事を我慢して断っているうちに、徐々に条件の良い仕事も入り始めました。

一方で、最大14店舗まで拡大した飲食業からは撤退するという決断もされています。

飲食業は最初はうまくいって、現金商売ですから、毎月100万円以上の利益が残っていました。

しかし、回転差資金を利用しての新規出店を繰り返したことや、200名近くまで増えた社員のマネジメントの難しさ、ご自身が現場作業に時間を取られる状況になってしまったことなどで、自分の時間が奪われるとともに、社員もついてこなくなり、業績が悪化していきます。

そこで昨年9月(まだコロナ禍が始まる前)に飲食業からは撤退されました。

こうして松本さんは、事業の再構築を行いながら、資金繰りに悩むことなく会社経営をできるようになっていったのです。

【苦難は幸福への門】

そしてセミナーの最後に松本さんは孟子の言葉を紹介されました。

孟子とは2000年以上前の中国の思想家です。

性善説の孟子さんです。

その孟子がこんな意味の言葉を残しています。

天がその人に重大な仕事をまかせようとするときには、必ずその心を苦しめ、肉体を痛めつけてどん底の生活に突き落とし、何事も思いどおりにならないような試練を与えるのである。

苦労に負けるな、与えられた試練を受け止めて自分を磨いていけ、ということです。

2000年以上前に生きた人間の言葉です。

それが今も生きているわけですね。

【やっぱり「人生逃げたら負け」なのか?】

さて、ここまで読んでいただいた方は、こう感じているでしょう。

やっぱり人生は逃げたら負けということを学んだと言いたいんだろう、と。

嫌なことから逃げずに向かっていくことで道は開けると言いたいんだろう、と。

違います。

私が今日とても勉強になったのは、「逃げてよいとき」と「逃げたらダメなとき」の違いです。

世の中には「逃げるが勝ち」を体現している人がいて、私も実際にそういう人を何人か知っているので、これも正しい考え方なのだと思います。

一方で、「逃げたら負け」を体現していて、成功している人も何人か知っています。

結局のところ、「逃げるが勝ち」という価値観の人も、「逃げたら負け」という価値観の人も、どちらも成功するし、幸せになれるのだと思います。

どちらの考え方でも成功するのですが、しかし、うまくいかない人もいます。

嫌なこと、苦手なことからは逃げるのですが、「逃げるが勝ち」という同じ考え方を持ちながら、うまくいく人と、うまくいかない人がいます。

なぜでしょうか?

その答えが今日のセミナーで見えてきたような気がします。

つまり、嫌なこと、苦手なことから逃げるのは全然OKなんだけど、「感情的な逃げ」なのか「理性的な逃げ」なのかによって、同じ逃げでも人生に差が出るのではないかと。

言い方を変えると、【明確な目的を持って逃げる戦略的撤退】と【今の状況が辛いから逃げる現実逃避】の違いです。

「急がば回れ」という言葉がありますが、目的(ゴール)にたどり着くために、引くべきときに引く、というのが戦略的撤退です。

今日のセミナーで話された通り、松本さんはずっと逃げの人生を送ってきました。この場合の逃げは現実逃避です。

  • いじめられて嫌だった
  • 仕事が辛くて嫌だった

だから逃げたという現実逃避です。

一方、飲食業からの撤退は、自分のリソースを別の仕事に投入して会社の状況をよくするという目的をもった戦略的撤退です。

(実際に、飲食事業を店舗ごとに店長に譲渡した後、それらの店はうまくいっているそうです)

自分が目標とするものを手に入れるため、目的を達成するために、あえて撤退するのか、それとも嫌だから逃げるのか。

同じ「逃げるが勝ち」という価値観で行動していても、結果に大きな差が出るのは、多分ここだなと気付かせてもらったセミナーでした。

思い返せば、私自身も現実逃避的な逃げをたくさんやってきましたが、、、

最後に笑えるように、逃げるとき、戦うときの判断を間違えないようにしたいものです。

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