薬局で買ってきた消毒用エタノールを見ていると、ふと、「これ飲めるのかな??」なんてしょうもないことを考えてしまいました。
そういえば、高校生のとき、化学の先生が変わった人で、エタノール(エチルアルコール)とメタノール(メチルアルコール)の違いを
「エチルは胃散る、メチルは目散る、だからメチルアルコールは飲んじゃいかん」
なんて言っていたのを思い出しました。
メチルアルコールは飲んだら失明します。
一方、エタノール(エチルアルコール)は飲むとどうなるんでしょう?
「お酒の濃度高いやつ」くらいに思っていると、実際飲んだらとんでもないことになるかもしれませんよ?
ここでは、エタノールを飲むとどうなるか?についてみていきましょう。
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飲んでも大丈夫なエタノールと大丈夫じゃないエタノールがある
エタノールには実は飲んでも大丈夫なものと、飲むとヤバいやつがあります。
飲んでも大丈夫なエタノールは酔っぱらうだけです。
まあ、のどが焼けるかもしれませんが。
もちろん普通のお酒と同じように飲みすぎると急性アルコール中毒になる可能性はありますよ。
飲んでも大丈夫なエタノールは、いわばお酒と同じです。
一方、飲むとヤバいエタノールは飲むと大変なことになります。
(厳密にいうと、エタノールではなく、混合されている物質がヤバいです)
それを飲むと、
- 中枢神経系、血液、肝臓、腎臓などやられる恐れがあります
- 鼻、喉、気管支などの粘膜や肺がやられます
- 眼の粘膜を刺激します
- 生殖能または胎児への悪影響の可能性もあります
どうですか?ヤバいでしょ?
じゃあ、飲むとヤバいエタノールって何でしょう?
エタノールには3種類ある
エタノールには実は3種類ありまして、
- 無水エタノール
- エタノール
- 消毒用エタノール
この3つです。
それぞれ何が違うのでしょうか?
無水エタノール
無水エタノールは15℃でエタノールを99.5%以上含むものを言います。
地上最強のアルコールですね。
さぞ、消毒効果が強いかと思いきや、消毒効果はほとんどないそうです。
ここまでのアルコール濃度にするには、普通に蒸留するだけでは無理なんです。
この濃度のエタノールを作るには、エタノールと水にベンゼンを混ぜて蒸留することが必要です。
つまり、無水エタノールにはベンゼンが混じっている可能性があるんですね。
これを水で薄めて飲むということは、ベンゼンを飲む可能性があるということです。
ベンゼン飲んだらヤバイですよね。
胃に穴開くかもしれませんよ。
まあ、そこまでの濃度ではないと思いますが。
無水エタノールは飲んだらヤバイエタノールです。
エタノール
次にエタノールというのは、15℃でエタノールを95.1〜95.6%含むものを言います。
この濃度のエタノールは普通に蒸留されて作られているので、飲みたかったら飲んでも問題はなさそうです。
ただし自己責任でお願いします。
間違いない美味しくはないと思いますよ。
消毒用エタノール
最後に消毒用エタノールですが、これは15℃でエタノールを76.9〜81.4含むもので、一般的に医療用消毒剤として使われます。
エタノールは80%前後の濃度にするのが、最も消毒効果を発揮するようです。
この消毒用エタノールについては飲めるかどうかは微妙なところです。
というのが、消毒用エタノールって同じブランドで同じ量のエタノールでも、こんなに値段が違うんです。
消毒用エタノールIP 333円
消毒用エタノールIPA 943円
なぜここまで値段が違うと思います?
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エタノールには酒税がかかっている
ここまで値段が違うのは、なぜかというと酒税がかかっているからです。
エタノールってお酒と同じ扱いなんですね。
逆にいうと、酒税がかかっているエタノールは飲んでも大丈夫です(多分)。
一方、酒税がかからず安くなるのはなぜかというと、飲用として利用できないように、添加物を加えているのです。
その添加物の代表が「イソプロパノール」という物質です。
別名「イソプロピルアルコール」というのですが、これは飲んだらヤバイやつです。
これを長期間飲み続けると、先ほど書いた
- 中枢神経系、血液、肝臓、腎臓などやられる恐れがあります
- 鼻、喉、気管支などの粘膜や肺がやられます
- 眼の粘膜を刺激します
- 生殖能または胎児への悪影響の可能性もあります
こんな危険があるわけです。
だから、安いエタノールは飲んではダメです!
というか、飲めるエタノールって500mlで1,000円近くするわけですから、それならもっと美味しい焼酎でも買ったほうがいいですよね。
エタノールを飲むのは違法?
ちなみにエタノールを飲むのが違法だと思っている方もいらっしゃるようですが、そんなことはありません。
エタノールを飲むこと自体は違法ではありません。
密造酒を作っているわけではないですからね。
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同じアルコールでも「メタノール」は飲んではダメ
同じアルコールでもメタノールは飲んではダメです。
メタノールを飲むと、アセトアルデヒドより毒性の高いホルムアルデヒドになり、最終的に猛毒の「ギ酸」へと分解されます。
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質の一つ。
その気体は呼吸器などの粘膜を刺激して、呼吸困難などの症状を発症させることも。
また、ギ酸は頭痛や吐き気の原因となり、さらに視神経を損傷し、視力障害や失明に至ることがあるのです。
こんな危険なメタノールをわざわざ飲みたいという人はいないと思いますが、実は知らず知らずのうちに、私たちはメタノールを飲んでいるのです。
もちろん、大きな障害を引き起こすほどの量ではないのですが、ワインやウイスキー、ブランデーには少量のメタノールが含まれているのです。
アメリカFDA(食料医薬品管理局)によると、アルコール飲料中のメタノールの許容量は体積比で0.1%とされています。
1リットルのアルコールで約1gとなります。
ある調査によると、フランス産の赤ワインには1リットルあたり128㎎のメタノールが検出されたそうです。
FDA基準を超えるメタノールを摂取するとなると、9リットルくらい飲まなければならないので、普通にお酒を飲んでいて、メタノールを摂取しすぎるということはないでしょう。
ちなみに、メタノールの危険水準は
10㏄(小さじ1杯)で失明
30㏄(大さじ1杯)で致死
と言われています。
日常生活でお酒を飲んでも危険な量のメタノールを摂取することはないと思いますが、飲酒は控えめに、たまには休肝日を作りたいですね。
最後に
エタノールの話から、最後はメタノールの話に飛んでしまいましたが、消毒用エタノールは知らずに飲むと大変なことになるかもしれません。
添加物の入っていないエタノールなら水で薄めて飲むのもありですが、イソプロピルアルコールが含まれている可能性の高い安いエタノールは飲むのはやめておきましょう。
そして「エチルは胃散る、メチルは目散る」って覚えておくのもいいかもしれないですね。
WE LOVE 岡山編集部