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なぜ?甲州ワインはじめ国産ワインの評価が世界で高まっている理由

 2016/10/28 編集長ブログ
 

2016年10月17日(月)放送のNHKクローズアップ現代で「日本産ワイン」が特集されていましたね。

ここ数年で国産ワインの質が格段に向上していると。ここではなぜ日本産ワインが世界で急激に評価を高めているのか?その理由に迫ってみます。

NHKクローズアップ現代での国産ワイン特集

番組冒頭でソムリエ世界一に輝いたことのある田崎真也さんが登場して、日本産ワインをテイスティングします。

そのときのコメント。

「上品で繊細な味わい。品質が向上してきています」

 

国際ワインコンクールで日本産ワインがプラチナ賞受賞

2016年、世界的な国際ワインコンクール(デキャンター・ワールド・ワイン・アワーズ)で、日本ワインがスパークリングワイン部門でプラチナ賞・ベストアジア賞を受賞しました!

「デキャンター・ワールド・ワイン・アワーズ」というのは、イギリスのワイン雑誌「デキャンター」が開催する世界最大級のワインコンクール。2016年には約16,000銘柄が参加しました。

国際的にも名高いワインコンクールで日本産ワインが評価されているのです!!

受賞したのは、中央葡萄酒株式会社(山梨県甲州市)の「Grace Extra Brut 2011」と「Grace Koshu Private Reserve 2015」。

グレイスワインで有名な「中央葡萄酒株式会社」は1923年創業の老舗で、作家の山本周五郎にも愛されたワイナリーなんですね。

 

日本産ワインの品質が向上した理由

クローズアップ現代のインタビューで田崎さんは言います。

「ブドウ栽培に、この日本という気候風土にあった栽培に関する考え方がずいぶん変わってきた。それによって日本のワインの根本的な酒質があがった」

国産ワインが世界で評価されるようになった一番の理由は原料のブドウにあったのです。

2016年の「デキャンター・ワールド・ワイン・アワーズ」から遡ること2年。日本産ワインがこのコンクールではじめて金賞を受賞したのですが、これは世界を驚かせました。

日本のワインはおいしくないと言われていた時代の出来事でした。

その立役者が「中央葡萄酒株式会社」の4代目オーナー三澤茂計氏の長女である三澤彩奈さん

彩奈さんは世界中を回りワイン作りを学び、甲州ワインを世界レベルに引き上げようとしていました。

彼女は、仏ボルドー大学で醸造学を学んだあと、仏・南アフリカ、チリなど世界6カ国のワイン産地で8年にわたり経験を重ねています。

ワインの英才教育ですね。

祖父や父が挑戦しながら思うように果たせなかった海外での評価向上、海外での販売を、彼女は果たそうとしていたようです。

しかし当時、甲州というぶどうの品種から作るワインは世界で評価されにくいと言われていました。

甲州は生食用としてはさわやかな甘みと香りが特徴ですが、10年ほど前までは甲州ワインは海外の専門家からは酷評されていました。

「薄くて水っぽい。ぶどう本来の風味を引き出せていない」

 

ワイン用ブドウに重要なこと

ぶどう

重要なのはワインの原料であるブドウに含まれる糖分の量「糖度」なのです。

ワイン作りに適したブドウは糖度が20%以上必要と言われています。

しかし甲州の糖度は18.29%とわずかに足りていませんでした。

食べる分にはさっぱりしていて美味しいのですが、ワインにするには糖度が足りないのです。

世界では通用しないと言われた甲州

しかしここから甲州の可能性を信じていた彩奈さんの戦いが始まります。

三澤彩奈さんは、それまでは農家から仕入れていた甲州を自分たちで栽培することにしました。

甲州の可能性を引き出す挑戦のはじまりです。

まずやったことは、木を植える間隔を狭くしたこと。

通常なら10m間隔で植える木を2m間隔で植えました。

なぜこんなことをしたのか?

それは、1本の木に対し、地中から行きわたる水分の量を減らすためです。

ある範囲にたくさんの木があれば、1本あたりに行き渡る水分量は減ります。

水分を減らせば減らすほど、実の養分が凝縮し糖の割合が高くなるのです。

ブドウが熟すまでじっくり待ってそれから収穫しました。

彩奈さんが栽培を始めてから2年後の2007年。初めての収穫を迎えました。

ドキドキしながら収穫したことでしょう。一粒口に含みます。このときの味はどうだったのでしょうか?

測定すると糖度は18%。

以前とほとんど変わりませんでした。海外では植える間隔を狭めるというこの方法は有効なのですが、雨が多い日本には適していなかったのです。

それからも2年続けて、糖度を上げることに失敗しました。

普通、このあたりで心折れますよね?彩奈さんも「プレッシャーなんてものじゃなくて、本当に追い詰められていた」と語っています。

老舗ワイナリーのオーナーの娘という立場を真正面から受け止め、逃げなかった彩奈さんの強さが伺われます。

さらに試行錯誤を重ねて実施したのが

盛り土をして畑をかさ上げ

するという方法です。

地面と木を離すことで地中から吸い上げる水分量を極限まで減らそうという試みです。

これは白ワイン用のブドウ栽培では世界でも類を見ない方法です。

そうして栽培したブドウが2013年に収穫されました。

彩奈さんは木から1粒のブドウをもぎ取って口に運びます。

測定した糖度は・・・

23%!

ついに目標の数値を超えることができました。

数年に渡る挑戦。何度も打ちのめされながら、諦めずに取り組んだブドウ栽培。

数々の失敗とプレッシャーをはねのけて見出した光。

20%超えの結果を見たとき、彩奈さんの目からは涙がこぼれていました。

甲州ワイン、一体どんな味なんでしょうか?

スキッとしているけど、程よい酸味と甘みがあるという評価です。

今年5月の伊勢志摩サミットで海外の首脳にもふるまわれたみたいですね。

日本ワインはおいしくなったと国際的な評価が高まっています。

 

なぜ?日本産ワインが変わった本当の理由

ブドウ作りへの想い

醸造技術、醸造施設が変わった。人が変わった。原料のブドウが変わった。

日本産ワイン品質向上の理由はいろいろ言われますが、一番の理由は何でしょうか?

それはワインに対する想いなのではないでしょうか。

三澤彩奈さんが何年も失敗を繰り返したにも関わらず、それでも諦めず挑戦を続けられたのはなぜ?

祖父や父の想いを実現したい!甲州ワインは素晴らしい!世界に広めたい!

彼女を突き動かしたのはこんな想いだったのではないでしょうか。

そもそも日本ではワインのためにブドウを作るということをしているところは少なかったのです。

生食用のブドウの残り物を処理するためにワイナリーがあったというのが現実のようです。

残り物のブドウをもったいないので、ワインに加工して処理していたということです。

ワインに対しては何とも失礼な話ですよね。ワイン愛好家が聞いたら激怒しそうです。

こんな想いでは日本産ワインがおいしくなるわけがありません。

しかし状況は少しずつ変化して、現在日本のワイナリーは北は北海道から南は宮崎まで240以上あるようです。ワインのために高品質なブドウを育てようとしているワイナリーが増えているみたいですね。

 

これからますます日本産ワインの品質向上に期待が持てます

三澤さんのところではありませんが、甲州にはハイテクでブドウの品質を向上させたワイナリーがあります。

山梨県甲州市のワイナリーでは畑に測定機器を設置して、情報通信技術によってワイン作りを支えています。

気温、湿度、降水量を24時間記録

それまでは勘と経験によって決めていた収穫時期をデータに基づいて最適な日を選べるようになったそうです。

他にもカビや病気が発生しやすい状況が続くとスマホに情報が送られてくるので、カビが実際に蔓延してしまう48時間とか72時間以内に対処が可能になったということです。

風通しをよくする草刈り作業も湿度を下げたいタイミングで行えるようになったり、情報通信装置を導入したことにより、ここ5年病気はほとんど発生していません。

いわゆる「見える化」によって畑に近づいてくる危険を察知することができるようになってワインの品質が上がってきたということです。

勘と経験というのは大切なものですが、「見える化」することによって、品質のバラつきはなくなりそうですね。

標高差をいかしたワイン

長野県高山村ではシャルドネを使ったワインを作っています。このワイナリーでは標高470mから830mまで異なる高さでブドウを栽培しています。

季節によっては3度以上の気温差があり、気温の違いによってぶどうの成熟のスピードが変わります。すなわち香りが変わるのです。

同じシャルドネでも標高の低いところで栽培したものは南国のフルーツの香り、パイナップルとかマンゴーとかの香りがするのに対し、標高の高いところではグレープフルーツとかレモンとか柑橘系の香りがするそうです。

これら香りの異なるブドウをブレンドして作ることで、複雑で深みのある豊かな香りを持つワインが生まれるんですね。

日本産ワインの今後の展望

これからますます世界での評価が高まりそうな日本産ワインですが、問題も起こっています。

 

今までの商標が使えなくなる?

ひとつは国税庁が決めた日本ワインの新ルールによるもの。

これまでは日本国内で製造していれば、海外から輸入したブドウを原料にしていようが国産をうたえました。

実際、国内で醸造されているワインの原料は濃縮ブドウ果汁などが76.4%が輸入。国産ぶどうは23.6%に過ぎないのです。

しかし、昨年、国税庁が決めた新ルールでは、

  • 国産ブドウを100%使用
  • 地名をつける場合はその地域のぶどうを85%以上使用

と変更されました。

このルールが波紋を広げているのです。

例えば十勝ワイン。名前を聞いたことがある人も多いでしょう。

この十勝ワインですが、新ルールでは十勝ワインと名乗れなくなるのです。

十勝では冬にぶどうの栽培ができないため、他地域からぶどうを仕入れています。つまり新ルールでは「その地域のぶどうを85%以上使用」を満たせなくなり、十勝ワインの商標が使えなくなるというのです。

対策として寒い十勝でも育つ品種を見つけようと努力しています。

 

もうひとつの問題がブドウの苗木が足りないこと

山梨県にあるぶどうの苗木業者には全国各地のワイナリーから注文が殺到し、今や3年待ちの状態だそうです。

ある苗木業者は年間4万本を生産しているのですが、注文は8万本とのこと。嬉しい悲鳴というよりは、申し訳なさが先に立つのではないでしょうか。

ぶどうの栽培は急には増やせないので、苗木を納品できず、ワインの生産本数を減らさなければならないワイナリーもあるそうです。

新しい時代に移行するときには、何かしらの問題は起こるもの。

今まさに、日本ワインの新時代が始まろうとしているのではないでしょうか。

 

そして我が岡山にも注目に値するワインがあるんです!

ワインの産地といえばフランスですが、なぜフランスワインが世界的評価が高いのかご存知ですか?

世界的な土壌学者であるクロード・ブルギニヨン氏はこう言います。

「ブドウという植物は石灰質を好む植物なのですが、フランスのワインが優れているのはフランスの国土の55%が石灰質だからです。」

(出典:ワイン基本ブック (ワイナートブック―わかるワインシリーズ)

ワインの品質は原料のブドウによって9割が決まると言われますが、フランスはブドウの品質がすごくいいということですね。ぶどうの栽培に適した土地なのです。

実は、日本にもフランスと似た土壌を持つ地域があります。

それが岡山県の北西部、新見市哲多町。

哲多町の土壌はフランスの銘醸地に似た石灰岩土壌(石灰岩と赤土)で水はけ良好。標高も約400mと高く、寒暖差もありブドウ栽培には非常に好条件が揃っています。

ちなみに岡山県はピオーネの産地としても有名ですが、岡山市内でとれたピオーネよりさらに新見産のピオーネは味が濃く絶品です。

そんな上質なブドウの産地で作られるワインが哲多ワイン

ただ、これまではワイナリーとしての機能がなかったので、県外で醸造して「TETTAワイン」のブランドで販売していました。

しかし2016年夏、ついに醸造施設が完成!今年からワイナリーとしての機能も整えたんですね!日本のブルゴーニュといわれる新見市哲多町で栽培から醸造までの一環体制が出来上がったのです!

期待できると思いませんか?

来年2017年夏には、一環体勢で生産したワインが店頭に並ぶとのこと。楽しみだな~。国産ワインに興味のある方はぜひ、この記事も読んでみてください。

⇒ 岡山のワイナリーで生産される岡山産ワイン「TETTAワイン」を広めたい

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